何度聴いた事だろう、このフレーズ…。

ラクリエ式シリーズの原型が産まれたのが2010年。
シリーズでウォレット、コインケース、カードケースが出来たのが2011年。
この年、このシリーズを軸にブランド展開していくと決め、起業した。

しかし販売を開始した2011年、1年を通して売れたショートウォレットの数、なんと1個。
たったの1個。
絶望的な船出である。
シリーズその他のロングウォレット、コイン・カードケースはそこそこ出ていたが
ショートウォレットは全く響かなかった。

「2つ折りの、普通のショートウォレットって無いですか?」
「当店のショートウォレットはこちらです。」
「………、これ小銭落ちますよね?」
「このようにすれば、大丈夫だと思います…。」

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実績が無いので売る方も自信がないのである。ww
まあ、そんな事では売れる訳はないし、まず形からして財布なのか何なのか分からない。
ファスナーもボタンも無いのだから心配なのは無理もない。
ただ、凄いモノだという自負と自信があった。

販売スタートした当時、全室のカード入れ部はカードが1枚しか入らないキワキワで創っていた。思い返せば、私は、ズット、キワキワが好き。w
少しづつだが売れ始め、「もう少しカードを入れたい。」という声が集まってきたので
一回り大きくしカードは5枚入るようになる。
これが現行のサイズである。

徐々にクチコミで広がり始めた2014年頃、今まで売れていたのは全て男性で女性には
見向きもされなかったが、女性にもチラホラ売れるようになってきた。
当時のやり取りはこんな感じ。

「これ、落ちない?」
「まあ、ひっくり返せば落ちますよ。不安な様なら買われない方がいいと思います。」

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何とも無茶苦茶である。
そんな接客でも、ボチボチ売ってきた。
2015年を過ぎる頃には、所有者の方々から感動の声が集まり、急速に広がり始める。
レジで会計していると、
「それ、ラクリエのウォレットですよね。私も狙ってるんですよ。」
と話しかけられる事もしばしば。
こうなって来ると売り方も変わって来る。

「小銭って落ちないんですか?」
「落ちたら拾えばいいじゃないですか!!」
「そうですよね。」

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で、売れる。無茶を通り越して、ふざけていると思われるかもしれないが大真面目。
本気で拾えばいいと思っている。
それが嫌なら買わなければいい。
無理に買う必要なんてどこにもない。
財布なんて、いっぱいあるし、どこでも売ってる。
俺が売ってるのは【財布】じゃない。
【生き様、価値、スマートさ】である。
これが通じない人とは付き合いたくない。

そして、2016年11月。
2年前に販売してから心を込めて仕上げたS氏のUSブライドルレザーを取り上げる。爆
その場で動画撮影し、軽い気持ちでYOUTUBEにアップ。

これが、跳ねた。
圧倒的に再生回数が、跳ねた。
で、電話・メールでの注文がガンガン入る。
誰にメール返信して、誰に発送したのか分からなくなる程。

【ブレイクした】

やっと伝わった。
丸6年掛かった。
時代が私に追いついた!ww

そして先日、久々のあのフレーズ。

「これ小銭落ちないんですか?」
「・・ちょっと大変申し訳ないんですが、今、それ、ダサいですよ♪」

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ここまで来た。
もちろん、売れた。
お客様にダサいなんて言ってはいけない。絶対に。
でも、ポロっと出ちゃった。思っちゃったんだからしょうがない。
もうこれ以上傲慢で媚びない売り方は無いだろう。

「このようにすれば、大丈夫だと思います…。」

「まあ、ひっくり返せば落ちますよ。不安な様なら買われない方がいいと思います。」

「落ちたら拾えばいいじゃないですか!!」

「今、それ、ダサいですよ♪」

どこのビジネス書を見ても「こんな売り方をしなさい」なんて書いていない。
将来的にこの形を確固たるものとし、
【お客様にはダサいと言え!!】
という題名の本を出版したいとおもっている。ww

まあ、これからも言われるだろうこのフレーズ。
ボタンを付けてくれだの、ファスナーが付かないかだの、散々言われてきた。
頑なに断り続けた。
財布の中が空っぽで、今晩のおかずどうしようって時も、断った。

2010年、この財布が出来た時、革命が起きたと我がで創っておきながら身震いがした。
2011年、たった1個だけ売れたショートウォレット。

2017年、1番売れているモノになってくれた。

http://lacrie.base.ec/items/5510181